暗い夜が明けて
明るい朝が来る
もうすぐそこ
日が昇る












目覚め









あの地獄のような年月が過ぎ去り
ギルディアスによって犠牲者となった少年は
暗い監獄の中から外へと羽を伸ばし
今、自分の隣で安らかな寝息を立てている





彼はあの悪魔の住むが場所で





どのような人々を
どのような人間関係を
暗く汚れた心の中を
ただ一塁の希望を
見てきたのだろうか?






今となってはそれを見いだすすべはなにもない
もちろん彼自身に尋ねればいいことなのだが
そんなことで彼の傷をこじ開ける必要はない
忘れた方が身のためになることだってある








とくに



あんな事はもう二度と思い出させたくはない











決して




















心から消えない傷であったとしても……………………




















少し寒そうにふるえた彼を
自分の傍に抱き寄せる
すると少年は
安心しきった顔ですり寄ってくる
その姿がたまらなく愛おしくて
苦笑の笑みがこぼれる






傍にある額に口づけを落とすと
彼が起きないように己の体をそっと起こし
顔にかかる髪の毛をかき上げる



「う………ん……………」



声がしてあわてて顔を向けると
起きた様子はなく
体を丸めてまた静かな寝息を立てる



「ビックリさせるな」



無意識のうちに頬がゆるみその手は彼の髪の毛に伸びる
黒っぽくて少し癖のある髪の毛を優しく梳く
何度もその髪に手を通していると
不意に恥ずかしくなってサッと手を引く
その手をもてあますも
行き場を無くし
己の髪をガシガシとかき乱す



「なにやってんだ、俺は」



しかしその寝顔を見れば自然とほほえみがこぼれ落ちる










最善の注意を払ってベッドから抜け出し
脱ぎ散らかしてある中から自分のズボンを拾い上げ身にまとう
室内はまだ暗く、時計に目をやれば夜が明けたばかり
カーテンを開ければ静かな町並みがひっそりと生息する
空はまだ大半が藍色で包まれているが
鳥はすでにさえずりを始めている





もうすぐすれば日は昇り
辺りは明るく輝き
世界は光に包まれるだろう











そう
彼がその目を開くまで






















あと少し





















あとがき


一応エンディングの翌日の朝という設定で
ルスカの独白なのですがうまくいっているでしょうか?
胸一杯の幸せでなくて
大切な者が傍にいるささやかな幸せ
そんなのが表現できていたらいいなと思います。
ンでもってやっぱりルスカが妙に可愛い………(爆)
なんでだろう?
作品にもよるけど
かっこいいルスカは私には欠けないと自覚しだした今日この頃……………。

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