優しい夢を見た気がする
柔らかなベッドの中で
あの人と二人けだるげに眠っている
あの人は、優しい寝顔で微笑んでいるようにさえ見えた
そんな
優しく、暖かな夢だった





あの人の傍で











「…うっ………んん………………」

ガイズは少し身じろぐとゆっくりと瞼を開き、夢の中から現実へと思考回路が繋げていく

「んだよ、いい夢見てたのにな………」

傍にヴァルイーダがいた、ただそれだけはハッキリと覚えていた
内容ま覚えて無くても感覚では分かる、心がそう訴えている

鉄格子越しに外を眺めれば、空はまだ藍色に近く夜が明ける前だというのが見て取れた
空気は朝独特のすんだもので、少し冷たかった
体をブルッと震わせて急いで薄っぺらい毛布を頭から被る
こんなものでもないよりましだ
いつもはそれで仕方ないと諦めるはずなのに
諦められるはずなのに
今日はあんな夢を見たせいか、いように人恋しいような気がして
厚い壁越しに一度だけ呼んでみる
さっきまで夢であっていた人の名前を

「…ヴァルイーダ…………?」

もちろんこんな朝早くに起きてるわけもなく、しかもこんな小声では届かない
そう思い今度こそ諦めてもう一度寝ようとしたとき

「ガイズ?」

壁の向こう側、ヴァルイーダのいる独房の方から自分を呼ぶ声が聞こえた

「ヴァルイーダ!?」

夜明け前というのもすっかり忘れて声を大きくしてしまいハッと己の口を塞ぐ
暫くして、ゆっくりとその手を外す

「ヴァルイーダ、どうして?………もしかして起こしちゃった??」

「いいえ、私も今さっき起きてしまって、そしたらガイズの声が聞こえたので」

「そっか」

その時俺は、心の奥に灯った暖かな光を感じて、自然と笑みがこぼれた
壁越しにいるあの人を少しでも感じようと、両手をへばりつけて、額を押しつける

「ねぇ、ヴァルイーダ」

「なんですか?」

「変なこと聞くけど、どうしてこんな時間に起きてたの?」

「さぁ、気が付いたら目が覚めていたんです」

俺は一瞬彼はいつもそんなに寝ていないのではないかと
がらにもなく心から不安になった

「ヴァルイーダはいつもこんな時間に起きてるの?もしかして……ちゃんと眠れてないとか……………」

「いえ、今日はたまたまです」

「よかった」

「夢を見たからでしょうか」

「なに??」

ヴァルイーダは少し困ったように笑って

「ガイズの夢を見たからでしょうか、不意にあなたに逢いたくなったのかもしれません」

ヴァルイーダはいつもと変わらぬ調子で、楽しそうにそう話す
俺は、二人でお互いの夢を見ていたのが嬉しくて恥ずかしくて………………
でも、ヴァルイーダが織れと同じように俺のことを思っていてくれたのが嬉しくて嬉々としてそれを話す

「ヴァルイーダ………俺も、ヴァルイーダの夢見てたよ。すっごく暖かくて優しかった」

恥ずかしかったけど、でも知ってて欲しくて
寂しいあの人をもっと近くに感じたくて

「ガイズ………」

「俺………ヴァルイーダに触れたい………………」

「ガイズ、私もあなたに触れたい」

俺たちは鉄格子の隙間から手を伸ばしお互いの手を握りあった
痛くないように優しく、でもしっかりと
その手を握った































「…うっ………んん………………」

ガイズは少し身じろぐとゆっくりと瞼を開き、夢の中から現実へと思考回路が繋げていく

「なんだ、夢だったのか…………」

懐かしい夢を見た、まだ俺があの刑務所の中にいた頃の夢だった
暗くて、怖かったけど、でも、そばにはヴァルイーダがいた
内容はよくは覚えてないけど、それだけはハッキリわかった
優しそうな寝顔で眠っているヴァルイーダを起こさないようにその体にすり寄る

まるで運命の悪戯のような再開を果たした俺たちは
暫くしてから街から少し離れた場所に、こぢんまりとした空き家を借りた
ヴァルイーダは絵を描きながら、俺はルスカの紹介してくれた仕事を続けながら一緒に暮らしている
決してお金があるわけじゃない、それでも
驚異も、束縛もなく、自由で、己が己でいられる
そんな当たり前の生活を送っている

窓越しに外を眺めれば、空はまだ藍色に近く夜が明ける前だというのが見て取れた
空気は朝独特のすんだもので、少し冷たかった
布団をきちんと被ると、ヴァルイーダにギュッと抱きついた

「ガイズ?」

耳のすぐ傍で名前を呼ばれ

「ヴァルイーダ…………」

シマッタといった顔で彼を見上げる

「ヴァルイーダ、どうしたの?………もしかして起こしちゃった??」

「そんな顔しなくても、大丈夫ですよ。僕もさっきから起きてましたから
それよりガイズ、また今朝も早いのでしょう、もう少し休んだ方がいいですよ。まだ夜は明けていないんですから」

そう言ってヴァルイーダはガイズの体を寒くないように包み込み、その頭を撫でる

「ヴァルイーダっ、そんなことしなくても大丈夫だって」

まるで眠れない子供をあやすような仕草が少し癪に触った。

「そうですか……ガイズはおやすみのキスの方がよかったですか?」

「ヴァルイーダ!!」

そう言って睨み着けてつけても、けっきょくは恥ずかしくなって、頭をまるけて布団の中に潜ってしまう

「あっ……すいません、ガイズ。どうもあなた相手だと理性の方が先に音を上げてしまうようで
でも、朝が来るまであなたの枕ぐらいにはなってあげられますよ、だから安心して下さい」

「起こしてくれよ」

「そんなに心配しなくても、大丈夫です」

「絶対だからな!!」

「えぇ」

「それから………………」

「それから?」

「大好きだから……………」

真っ赤になりながらそう言い、ヴァルイーダからフッと目をそらす

「私もですよ、ガイズ」

そして彼は、その額に口づけをする。

「お休みなさい、ガイズ」

「………うん」

そう言うとガイズはヴァルイーダに寄り添って静かに瞼を閉じる。







眠りはその後、もうしばらくの間彼らに訪れた。








あとがき

キリ番2000Hitの小説です。
リクエストはmegu様がして下さいました。
内容はヴァルガイで甘々と、言うことなのですが。
如何でしょうか?(笑)
雪螺はどうも、ベッドの上でいちゃいちゃするのが好きみたいです。
これってけっこうオタクと言うかマニアというか(笑)
ヴァルイーダじたい、書く機会が少ないのでとても楽しかったです。
こんなんでよかったらどうぞもらって下さい(汗)

この作品はmegu様にのみ持ち帰る権利があります。



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