クリスマスイブの夜
二人きりの幸せな時間には
ほど遠い




パーティーの夜に







今朝おきて、一番最初に聞いたのはジョゼの言葉は

「今日はみんなを呼んでこの家でパーティーをするからな!」

と話すジョゼの楽しげな声だった

「えっ、なんで急に!?」
「前々から話はあったんだ、それにせっかくのクリスマスイブなんだから二人だけでいたってつまらないだろ?」

ジョゼにとってはそうかもしれないけど俺にとっては特別な日に、二人だけでいたかったのに……………
だけどジョゼのヤツは頑固だから一度言ったら聞いちゃくれない
俺はその日の夜まで、部屋の掃除をしたり、飾り付けをしたりで、てんやわんやだった。





夜になれば各自が一品ずつ持ち寄ってジョゼの家にあつまった。
パーティーと言っても厳粛に行われるわけでもなく。
只単なるどんちゃん騒ぎがしたかっただけなのだ。
食べて、飲んで、歌って、踊って………。
確かにスッごく楽しいし、みんながいることは嬉しいんだけど、やっぱり素直に喜べない。

「どうしたのガイズ、浮かない顔して」
「ケイン………」

俺はとっさに作り笑いをして、笑って見せた。

「どうもしないって!いつも通りだろ?」

するとケインはクスッと笑った。

「別にそんな無理しなくてもいいんだよ、さっきまで凄く寂しそうにしてたんだから」

そう言われて、俺も無理をするのを止めた。

「ちょっと、いろいろ考えててね」
「ジョゼのこと?」

そう言われて俺は少し躊躇いがちにコクッと頷いた。

「やっぱり」

どうやらケインにはお見通しだったらしく、俺は苦笑するしかなかった。

「せっかくのクリスマスなんだから、本当はジョゼと二人っきりがよかったんじゃない?」
「あぁ、もうそこまでバレバレ」
「ガイズ見てれば誰だってわかるよ」
「そおかなぁ?」

するとケインはクスクスッと笑った。

「ほら、ジョゼって兄貴肌で、いつも先頭に立って俺たちのこと面倒見てくれるだろう
俺たちの中には身よりもなくてこの仕事で食いつないでいるヤツもいるわけじゃん
ジョゼ自身こういう風に騒ぐのが好きだし、きっとそう言うヤツのことも考えてるんだと思うんだ」
「ふーん」

そんなケインの話を聞いて俺は少しだけジョゼを見直した

「逆に言えばガイズ」
「何々?」
「君がもっとジョゼに甘えればジョゼもそれ相応に答えてくれると思うんだけど、どうかな?」
「でも………」
「なんかジョゼにからかわれたり、弱みを握られるみたいでイヤ?」

俺は正直にコクッと頷く

「でもね、ガイズ。甘えるってことは、弱みを見せることとは少し違うと僕は思うんだ」
「じゃぁ、どんな風に思うんだよ」
「大好きな相手に甘えられるって言うのは、信頼だと思うんだ」
「信……頼………………?」
「そう、ガイズだって刑務所の中でジョゼなら大丈夫だと思ったからここまでついてきたんだろ?それを考えれば甘えることくらい今更だと思わないか?」

あぁ、なんだ
本当はとても簡単で今更なことだったんだ
だって人は言葉にしなければ、行動に出さなければ伝わらない想いだってあるのだから

「ありがとうケイン、なんか目から鱗って感じだった」
「どういたしまして、それよりガイズさっきから向こうでジョゼrが読んでるから一緒に行かないか?あまり君と二人でいすぎるとジョゼに怒られそうだしね」

そう言ったケインに俺は苦笑して「そうだね」と答えた。





パーティーも漸くお開きになったんだけど、床はまだ散らかってて、そこら中が汚くて、酔って眠ってしまった連中が床でいびきをかきながら眠っていた。

「まったく、人様の家でいい気なもんだぜ」

そう言いながらもジョゼは一人一人に毛布を掛けて上げている、ジョゼの優しさはいつも目立たないところにあるんだなと改めて実感した。
俺は少ずつお皿を片付けたりしていた。

「おい、ガイズ」

すると不意にジョゼに呼ばれて俺はエプロンを掛けたままジョゼのところまでぱたぱたと走っていった。

「何だよ、ジョゼ」

するとジョゼは目の前に四角い箱をつきだした。

「何だよこれ」
「何ってクリスマスプレゼントだよ」

そう言ったジョゼは少し照れていて、俺はその箱を開ける。
箱の中身は小さなピアスだった。

「これ、ピアスだよね」
「あぁ」
「でも、何でか他方しかないの」
「それはだな、コイツの片割れだからだよ」

ジョゼはそう言って自分の耳に付けているピアスを指した

「本当は指輪とかの方いいのかもしれねーけど、金がねーし、何買ったらいいかわかんなかったんだよ」
「でもどうして?プレゼント交換ならパーティーの時にしたじゃないか」
「あんなの誰に行くかだってワカンネーじゃねーか、俺はお前にやりたかったんだよ…………その、見える証ってヤツをさ」
「見える、証」

するとジョゼは照れくさそうに頭をかいた

「ケインのヤツが『恋人なら指輪の一つでも送ってあげたら』なんて言い出しやがって、いろいろ見たりしたんだけど、指輪なんて女にも贈ったことねーんだぜ
それにだ、そういうとこうろうろしてっと、この身なりだから万引きか何かと思われて警戒されるしよ、それだったら俺の一番お気に入りのヤツをっておもって、これにしたんだ
本当はスペア用に取ってあったんだけど、ガイズが持って手くれるなら安心だからな」
「だけど、大切なものなんだろ」
「だからテメーにやるんじゃねーか」

あっ、どうしよう
その何気ない一言が
凄く嬉しい

「ジョゼ」
「何だよ」
「サンキュ」
「ふっ、いいっていいって。そのうち身体で返してくれれば…………な」
「………………バカ」








ジョゼストーリーEND















































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