「青樺……好きだよ、青樺」





言葉で表すの意味





貴沙烙は、何かにつけていつも俺のことを好きだとか、可愛いとか、…アイシテルとか言う

「青樺、なにボーっとしてるんだ」

「あっと、ごめん」

「まっ、そんな青樺も可愛いけどな」

「貴沙烙!!」

ほら、今だって
手習いの最中なのに俺の顔は真っ赤だ

「まったく」

おれは、真っ赤になった顔を気づかれないようにそっぽをむく
(その時点でもうばれてると思うけど)

「青樺、青樺……そんなに恥ずかしがらないでこっちを向いてくれ、」

子供っぽいと思われるかもしれないけど、俺は恥ずかしくてどうしても向く気になれなかった

「青樺」

すると貴沙烙の顔が俺のそばまで近づいてきて、耳元で俺の名前を呼ぶ
それだけで俺の背筋にはゾクゾクと快感が走る

「ちょっ、貴沙烙!!」

「ふっ、ようやくこっちを向いたな」

「あっ…」

俺は勢いに任せて貴沙烙の方を振り向いたことに気がついた
そんな俺の顔を見て、貴沙烙はやれやれとでも言いたそうな顔をする

「ちぇ、結局は貴沙烙の思う壺か」

「どういうことだ」

「俺は貴沙烙に遊ばれてるって事」

俺はどこかふてくされて答える

「仕方がないじゃないか、青樺は…可愛いんだから」

「…また言った」

「なんだ?」

貴沙烙は不思議そうな顔で手習いのとまっている俺を見る

「また…可愛いって言った」

「なんだ、そんなの今更じゃないか」

「だって俺、思ったんだ。何でいつも貴沙烙はそんなに可愛いとか、好きとか、愛してるとか言えるのかなって?」

そこまで言って、貴沙烙を見ると、彼はいつものように微笑んで言った

「それは、俺だからな」

「貴沙烙だから??」

「俺は自分で思っていること、感じたことを口に出して言うのが得意なんだよ。もったいないとは思わないか?
今俺は青樺に対して思っていることが青樺に伝わらないのは、とてももったいないことだ」

貴沙烙は、俺の前髪をくるくると指に絡め弄び、その手で俺の頭をなでる

「でも、恥ずかしくないのか?」

「恥ずかしくない、青樺だから」

そう断言する貴沙烙は、かっこよかった

「でっ、でも、俺はいつも言われてばかりで…貴沙烙に何も返せてない気がする」

「べつに、返してもらわなくてもいいさ」

「どうして?それじゃぁ貴沙烙が………」

「不公平か?」

どうして言いたい事がわかってしまったんだろう?
俺は貴沙烙の問いに素直に頷いた

「そんなことはない」

「そうなのか?」

「あぁ…確かに青樺は『言葉』としてはあまり俺に返してはくれない、でも青樺はもっと別の方法で俺にいろいろなものを与えてくれてるだろ」

「そうなのかなぁ?」

貴沙烙はおかしそうに笑い、俺の鼻頭に指を突きつける

「まずその表情だ、俺の言葉に反応してくるくると代わる。その表情は青樺の心の鏡、青樺の気持ちを代弁している」

て言うことは……、心の中筒抜け?!

「そう、青樺の心の中は俺に筒抜けだ」



「!!」



貴沙烙は俺の思ったことをずばりと言い当て、俺の顔はこれ以上ないくらいに熱くなっている

「ちなみに今、お前は猛烈に恥ずかしいんじゃないか?」

「なんでわかったんだ」

「その顔を見れば、俺でなくたってわかる」

「ううっ」

「だから安心しろ、俺はしっかりお前からたくさんのものを貰っている。愛情の表現方法なんて人それぞれだ、決まりなんてありはしない。
青樺には青樺の、俺には俺の、それぞれの個性があっていいじゃないか」





貴沙烙には貴沙烙の、俺には俺の……愛





「うん」

「ほら、手習い。再開するぞ」

「あっと、ごめんな」






貴沙烙が笑って、俺も笑う
俺たちは取り戻した日常の中で
そんな些細な幸せをかみ締めている






おわり




































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