人は色々な事をしなければ生きてはいけない
食事を取らなければいけない
睡眠をとらなければいけない
身体を動かさなければいけない



でも



SEXはしなくても
生きてはいけると思う………






  Last An
 Assassin穏やかな始まり








あまり飾り立てていない店内に、カランと乾いたベルの音が響く
それと同時に、カフェのマスターがいらっしゃいませと声をかける

「よっ、まったか?」

そう気さくに話しかけてきた源泉は、俺の隣のスツールに腰掛けた

「少しな」

気兼ねなく返事をして、アイスコーヒーを一口口に含む
ほんのりとした苦味が口と喉の奥に広がる

「お前に会うのは、あの一件以来だな」
「ああ」

源泉とはシキの意識が戻ってから電話などで少し連絡を取り合っていた
彼はたくさんの情報に精通していて、俺たちの事についてよく教えてくれた

「あれから、シキの噂もそうだが、お前の噂もよく聞くようになった……」
「そうか」

その事実を聞くと、改めて俺の運命ごとシキに組み込まれたのだと言うことを実感する

「…本当にもう、戻れないところまで行っちまったんだな」

源泉は差し出されたグラスの水を、一気に飲み干す

「そんな顔するなよ、光ばかりが世界じゃないさ、光があればその半分は闇だ」
「まぁな。それに、光源に近づけば近づくほど闇は大きく広がりやがる、まるで政治家みたいだ」

源泉の言葉に俺は首をかしげる

「奴らはこの世界でもとりわけ光の中を歩いている、だからこそその闇は計り知れないのさ」
「ははっ、確かに」

取り留めのない言葉を交わしながら互いにのんびりとした空気を楽しんだ
俺はカウンターに頭を乗せると、コーヒーの中でゆらゆらと解けていく氷のかけらを見ていた

「どうした、元気ねーじゃねーか。悩み事でもあったらオイチャンに話してみろ、ん?」

そう言って源泉は俺の頭をぐしゃぐしゃにかきまわす

「やめろよ」

俺はカウンターの下で日本刀の鞘の先を人知れず彼のみぞおちに当てる

「へーへー、怖いこった。まっ冗談抜きで顔色は良いとは言えねぇけどな」

その原因ならわかっている

「あの野郎と一緒にいてストレス溜まってんじゃねーか?」

ストレスなんかじゃない、もっとくだらない事で
でも俺にとっては死活問題だ

「ストレスなんかじゃない、その…」
「その?」

あっ、変なこと言ったことに凄く後悔

「忘れてくれ」
「何だよォ、気になるじゃねぇか!」

このクソオヤジは俺が嫌がるのを承知でこんなに大声を出しているだろう
こっちは本気で恥ずかしくて仕方がない

「そんなガキみたいに大声出すなよ」

俺は対照的に小声になって源泉を睨みつける

「別に、いいだろ?もうあれだけの大修羅場見てんだ、今更何が来たって驚かねぇさ」

すると隣でシュボッと音がして、眼を向ければ源泉がタバコに火をつけていた

「まっ、ヤり過ぎて足腰たたねーってんじゃないんだろ?」
「……ッ!!」
「…………マジ?」

俺は乾いた声で笑うしか出来なかった
源泉はタバコをくわえたまま楽しそうに身を乗り出してきて

「で?一体どれくらいヤッてんだ?週に三日か?四日か??」
「…にち………」
「ん?」
「毎日……」

流石に源泉も驚いたんだろう、口からポトリとタバコが落ちた

「マジで?それは、また…。アチラさんも凄いが、お前も凄いな」

源泉は変に感心して、腕を組んで頷いている

「ウルサイ、俺には重要問題なんだ」

そう、朝は起きられないし、敵が来てもシキに助けられてばかり
いくら愛し合っているからって、俺にもプライドがある

「せめてもう二日自制してくれたら、まだまともなんだけど」
「お前さんも、凄いやつに惚れられたもんだな」

おかしそうに笑う源泉に、俺の額には青筋が浮かぶ

「おっさん…それ以上笑ったらもう帰るけど………」
「へいへい、悪かった悪かった」

本気でそう思っているのだろうか?

「でだ、これからが本題だ」

源泉が眼光をひそめ、俺だけに聞こえるように話し出す

「アキラ、お前たち…狙われているぞ」
「狙われ…、今更何を」

当然だ、シキをトシマから連れ出してからこの方、狙われてばかりだ
だが源泉は警戒態勢をあらわにし、真顔でこちらを見つめる

「今度のヤツはマジでヤバイ、アイツと同等と言っても過言じゃねぇぜ」
「シキと……」

それは多少なりとも驚きだった

「通称は『死神』、あんまりいい噂の聞かねぇ男だ。」

源泉は半分ほどしか減ってないタバコを灰皿でもみ消し、ため息をつく

「そいつの通った道には女だろうが子供だろうが築かれるのは仏の山
道はすべて血の色に染まるって話だ」
「で、その男のターゲットが俺たちってわけか」
「そうだ、情報は皆無。ただ殺し方から見て両刃使いの凄腕ってことだ」

二人の間に沈黙が流れ、カランというベルの音とマスターの声がやけに大きく聞こえた

「こんなところで何をしている、アキラ」





って、あれ?




その聞き慣れすぎた声に俺はあわてて顔を上げる

「シキ?!」

俺はその驚きゆえに声が多少裏返るのを自覚せざるをえなかった

「ふっ」

驚いて身動きできないでいる俺たちを尻目に、シキはゆっくりと俺たちの側に歩いてくる
俺は開け放たれたままの扉や、額に汗しているマスターを見て
さっき二つの音が大きく聞こえたのは気のせいじゃなかったのかと頭の奥のほうで考えていた

「シキ、どうしてここに……?」
「いつも帰ってくる時間に帰ってこなければ、普通何かあると思うものだ」

それはつまり、俺の事を心配してくれているというわけで………

「それに、浮気現場ときた………」

しかしその言葉に俺たちを取り巻く空気は絶対零度の領域まで引きずり下ろされた
シキ、もしかしなくても……物凄く怒ってる…………
源泉など、真剣な表情そのままでガチガチに固まってしまっていた

「おい、男。貴様にも忠告したはずだが?アキラに…触れるな、と………」

既にシキの脳内では、悪いのは源泉だと変換されているのだろう
哀れ、源泉………

「さて、どのように殺してやろうか?」
「ちょっと待てよ!」

物騒な言葉に数少ない客は逃げ出し、マスターはカウンターの陰に隠れてしまった

「待ってって、違うんだ!」
「…一体何が違うんだ?逢引の言い訳か?」
「違うって言ってるだろ!分かっている癖に………」

いくらシキが怒っていようとも、彼を取り巻く空気からは殺気は感じられない
シキは音も無く刀を仕舞って、俺と源泉の間に仁王立ちで立つ

「だがこの無粋な男と会っていたからにはそれなりに用件があったのだろ?」
「まぁな」

俺がチラリと源泉に視線を置くと、彼も何とか意識を取り戻して

「あぁ……少し『死神』について話しててな」

その単語にシキの眉がピクリと動く

「お前さんたちが狙われてる、それだけ教えに来た」

その言葉を聞くや、シキはなぜか俺を抱きかかえて立ち上がった

「ちょ、シキ!」
「話はそれだけだな」

源泉はぽかんと俺たちを見上げた

「あぁ、それだけだが?」
「ならコイツは返してもらおう」

俺を抱えたままのシキは、まるで重さも感じないのかいつもと寸分変わらぬ歩みで歩いていく
開け放たれたままの扉の前まで行くと、フッと振り返って

「源泉とかいったな?今度俺たちを呼ぶときにはもっとましな情報をもってこい」

源泉は挑戦的な笑いでひらひらと手を振り、シキはさっさと店から出て行ってしまった。

「ふっ、愛されてるこった………にしても、ここの支払いは俺もちか?」




その後の俺は………
いや、ココでは口にしないでおこう








終わり





あとがき

方ぶりの小説が終わりました
最近だらけぎみだったので、少し頑張ってみたつもりです
因みにこの小説はもう暫く続きます
それはもう、ダラダラと(笑)
これにさらにナノアキ連載が始まってしまうと連載が三つに

真面目に何とかしなければ(滝汗)

そして今回は何が書きたかったかというと
シキは絶対絶倫だ!!と言うことが書きたかったのです…………(呆)

因みにシークレット(裏)には完全品があります故、もしよろしかったらどうぞ



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